3日後…
「…まだ言ってこないの?」
「うん…」
「おっかしいわねぇ。ウソップとチョッパーなんて、明らか恋愛圏外に渡したのに、まだ気付いてないのかしら」
「相当鈍いのね…」
「中々、辛辣だね;;」
恋愛圏外発言とは、中々酷な物言いだ。
長い間の音沙汰なしに、ロビンはともかく、ナミはかなりイラついてきていた。
は体を竦めて、居心地が悪そうにしながら口を開いた。
「…なんかまるで、サンジが元々私に気があって、告らないとおかしい、って言ってるように聞こえるんだけど…」
「なぁにあんた、気付いてなかったの??」
「コックさんと絵描きさん、二人ともいい勝負じゃないかしら。鈍さにかけてなら」
「こんなんじゃ、一生くっつかないわ…」
ナミが大げさに溜息をついて見せた。
ロビンが親切に解説してくれる。
「あのケーキを渡してから、コックさん、明らかにの前でギクシャクしているわ」
「あれは確実に意識してるからに決まってる!!」
「え、でもケーキ貰ったら、そりゃあギクシャクもするでしょ」
ルフィとかならまだしも。
そう言うとナミが、ホントに分かってないんだから、と頭を抱えた。
「いーい?私達があげても、サンジくんのことだから数分後にはけろっとして、またキザな口上述べたりするわよ。
それなのにアンタから貰ったらギクシャクするのは何でだと思う??」
「な、何ででしょう…??」
「惚・れ・て・る・か・ら・よ!!あんたに」
「えー!?そんな無理矢理な解釈…!!」
抗議するとナミは胸を張って自信満々にロビンに問うた。
「無理矢理な解釈かしら?」
「妥当な考えだと思うわ」
「ろ、ロビンまで…;;」
「こーうなったら仕方ないわ!!」
拳を握り締めてナミが立ち上がる。
その勢いに気圧されては後ずさった。
「な、何?」
「リミットを設けるわよ!!」
「「「リミットー??」」」
反応する声は三つ。
それもその筈、その場には当選したウソップ、チョッパー、そしてサンジの三人しかいないからだ。
「そうよ!!だーれもアクションが無くて、このまま待ってるのも面倒だから、期限を設けるわ!!」
「っつったってよ、聞くのも聞かないのもおれ達の勝手だってお前が言ったんじゃ…」
「なぁに?何か文句ある??」
「…ありません…」
ナミにジロリと睨まれて、ウソップが半泣き状態に。
「…で、ナミさん。その期限ってのは?」
「今日、夕日が沈むまで!!」
「…って、あと数分もないぞ??」
「あら、チョッパー、聞くつもりだったの?大丈夫、今からでもロビンに聞きに行けば間に合うわv」
「あ、いや、おれは…」
「…ま、集まってちゃ聞けるもんも聞けないか。解散!」
これで良し!とばかりにナミはロビンとに親指を立ててみせた。
女子は全員思い思いの場所に散っている。
は船尾で日の入りを見守っていた。
「ああー、お日様が入っていく」
「じゃあ、ぎりぎりセーフだな」
「うん…って、え!!?」
後ろをぱっと振り向くと、煙草に火をつけながらサンジが歩み寄ってきていた。
「サンジ…何でここへ?」
「何でも何も、答えを聞きにきたのさ、マドモアゼル」
船尾の柵まで来ての隣を陣取ると、と同じく太陽の方向を見た。
「―――実を言えば、ずっと答えが聞きたくて夜も眠れやしなかった…
でもクソ情けねェ話、答え聞くのも恐くてずっとそのままにしてきた。
こんな慎重になっちまうことって初めてでよ、慣れてねェんだ」
ふと、呆気にとられるの方を向くと、恭しく膝を折って下から覗き込んできた。
「それでも…おれに付いてきてくれませんか?プリンセス」
サンジがすっと手を差し出してきたので、は手を差し伸べた。
「…――喜んで」
そういうと、サンジが急に視界から消えた。
締め付けられる感触で、抱きしめられているのだと気付く。
「良かった…!!まさかあの長ッ鼻と青ッ鼻が二人の本命だとはとても考えられなかったんだが、それでも自信が無くて」
「んだとー!?サンジ、何てェ言い草だ!!?」
「おぅ、居たのか長ッ鼻」
「さっきから居たわ!!存在感ゼロかおれは!!?」
「あ…、ゴメンウソップ、私も気付かなかった」
「もかよ!!」
その時、少し奥の方で声が聞こえた。
「なぁ、ナミ。早いとこサンジにメシ作って貰おうぜェ〜?」
「馬鹿っ、今いいトコなんだから!!」
「どうでもいいが、何でおれまで…」
「いいトコって、何がだ??」
「絵描きさんとコックさんが、とても仲良くしているところなのよ」
「何ィ!!?二人だけなんてずりぃぞ!!おれも仲良くする!」
「ちょっとは黙りなさいよ、この馬鹿キャプテン!!」
「…そこで何してンだ?レディ達とオマケども」
ぎくぅっ!!
「覗きなんて粋なコトしてくれてんじゃねェか」
ゴゴゴイィン!!!
主犯格であるナミ、ロビンを残し、ルフィ、ゾロ、チョッパーという、確実に巻き添え食らい組が、サンジの鉄裁により、船首まで吹っ飛ばされる間に…
「サンジくーん、お腹すいたわ」
「了解、ナミさんvvv」
レディ達は哀れな男達より少し早めの晩飯を摂るのであった…
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