護ってくれますか?
その日は天気が良かった。
ここのところの気候はずっと雨続きだったので、この機を逃す手はない!という強いナミの主張で、クルー全員強制参加の大洗濯会を行うことになったのだった。
服も洗えば布団も洗う。
も洗い終えた布団を甲板に運んでいた最中だった。
よたよたしてとても危なっかしくて見ていられなかったから、全員こぞって止めるようにと言ったのに、役に立ちたい、とムリを言ってその仕事を引き受けさせてもらっていたのだが…
…とうとう、バランスを崩したのである。
「うわわっ、とっ、とっ…へっ!?」
気がつくと後ろに倒れた背の先には濃紺の海面が。
「わぷっ!!だ、誰かっっ!!?」
言うまでも無く、今までハラハラしながら見ていた全員が猛ダッシュで集まって来た。
その中で一番血相を変えていたのがルフィだった。
「っっ!!ちょっと待ってろよ、今行くっ…!」
と、身を乗り出したその時、ナミがルフィの肩を掴んで引き止めた。
「待ちなさい!あんたが行ってどうなるの!?手間が増えるだけよ!!」
「ナミさん、おれが行くっ!」
脇からすぐにサンジが飛び出し、を抱えて上がってきた。
ゾロがバスタオルを、ロビンが風呂の湯を沸かしてきて、はすぐに体を拭き、風呂に放り込まれた。
風呂から出ると、ウソップによって整えられたベッドに横たえられた。
「ちょっと落ちちゃっただけだから、大げさだよ;;」
「何いってんの!最近は雨ばっかで、水温だってろくに上がってない海に落ちちゃったのよ!!まったくもう、あんたときたら…」
「…そうだ、ゴメンね。布団また洗いなおさないと…」
「水臭ェな。それ位、おれらでやっとくって!」
「ありがと、ウソップ」
「ありがと、ウソップv」
「いやちょっと待て、何でそこでナミが礼を言う?」
お前も一緒にやるんだろうがっっ!!とウソップが言ったら、ナミに物凄い眼でガンつけられた。
「ま、ゆっくり休んでな。布団の他も、後はおれらがやっとくからよ」
「後ではちみつミルク持ってくるよ」
ゾロとサンジがそう言うと、クルー全員が部屋を出て行った。
ルフィただ一人を除いて。
「…。」
ルフィはひたすら無口で下を向いている。
「あの…、ルフィ?…怒ってる?」
「…。」
「ゴメンね…?」
「…何で謝るんだ」
「だって、私が皆が止めるの無視して布団運びしてたからあんなことに…」
「違うだろ!」
少しルフィの語気が強くなる。
見るとルフィの拳は強く握り締めすぎて震えていた。
「は謝る必要なんかないだろ!」
「じゃあ…どうしたの…?」
麦わら帽子を首にかけて露わになっている黒い髪が主と同様に小刻みに震えている。
強く俯いたルフィの姿は、とても小さく見えた。
「…おれ、助けてやれなかった。
が海に落ちちまっても、おれ、カナヅチだから助けてやれねェ…」
「だって仕方ないよ。それに、皆が助けてくれるし」
「でも、ドジだからよく落ちてんのに…」
「…ルフィ、それケンカ売ってる?」
「?」
ルフィの髪の毛にそっと触れると、とても繊細で、心地よい。
「でもルフィ…誰にだって出来ないこともあれば、出来ることもあるんだよ。ルフィは戦いの度、私を助けてくれるでしょ?
適材適所でいいんじゃないかなぁ?」
でもその代わり、と付け足し、
「戦う時は必ず助けてね」
そう言って笑いかけると、ルフィはの顔を見て、少し間を置いてからにかっと笑って、
「当たり前だ!」
と答えた。
「…でもい〜なぁ、ベッドで寝てられて。おれも寝ちまおう」
「へっ!?ちょっ、何でここ入り込んでくるのっ」
「だって外出たらナミ達に見つかっちまうじゃんか」
「…とーっくに気付いてるわよ、ルフィ!あんたもとっとと来て手伝いなさい!!」
「あ、見つかっちまった」
ずりずりと首根っこ引っつかまれて引きずられていくルフィ。
ふと、部屋を出る直前にぎゅるんと振り向いてまた、にかっと笑った。
「じゃな、!」
も笑ってみせて手を振り、
「うん!」
と答えた。
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泳げない事忘れて飛び込むおバカなルフィが大好きですv(またそれか。)
ナミさんは扉に張り付いて一部始終を盗み聞きしたに違いない。
風邪ひいたときは、やっぱりはちみつミルクよねーとか思いながら、生まれてこの方一度も飲んだことがなかったりする水乃だったりします。(笑)
実はただのマンガの影響だったりする。
あ、そういえばサンジさんは誰も心配してくれなかったので、体拭くだけで済ませました。(笑)