目薬〜井浦ver.〜
放課後。
誰もいない3年2組の教室で一人私は俯いていた。
目に一杯水滴を溜めて。
『ごめん…俺、好きな人いるから』
そう言われたのは数分前。
「そっか、わかった」と笑顔で答えて校舎裏からまっすぐにここに戻ってきた。
初めは気取られぬようにゆっくりと。角を曲がってからは走り足で。
そうして扉をあけた教室は静かに夕日を浴びていて。
誰もいない教室で私は声も上げずに泣いていた。
(…帰りたくない…)
泣きはらした顔を誰にも見られたくなかった。
少しでも涙を止めようと天井を仰いで、オレンジ色に染まった蛍光灯を眺めた。
カラリ。
扉の開く軽い音がして、はぎくりとしながら音のした方を見た。
「あれ、さん?」
「井浦君…」
「…どうしたの?」
教室に入ってきた井浦君はすぐに私の目元に気づいて歩み寄り、心配そうに聞いてきた。
とっさに取り繕った嘘が口をつく。
「ちょっと、目薬差してて」
自分でも情けないくらい見え透いた嘘。
でも井浦君はそれについては何も言わずに、
「そっか」
と言って、無言で私の隣にあった椅子を引いて私のすぐ隣に座った。
そしてぽん、と手を私の頭に置いてそのまま自分の方に引き寄せた。
目に溜まっていた滴がぽろりと横に垂れる。
(…何も、訊かないんだ)
いつもの学校で見ているのとは違う雰囲気の井浦君。
頭に置かれた手が温かくて、なんだかとても落ち着いた。
「…ありがとう」
「うん」
しばらく二人でそのまま黙ったままでいた。
窓の向こうから部活を終えて帰る人たちの声が聞こえる。
陽はもうすぐ沈もうとしていた。
随分長かった沈黙の後に、井浦君はぽつりと口を開いた。
「…さんさ、こういうのってなんか悲しみに漬け込むみたいで厭なんだけど、」
「…はい?」
井浦君の方を見上げると、井浦君は前を向いたまま続けた。
心なしか横顔が赤く見えたのは、夕陽の所為かもしれない。
「……俺なんかどうですか」
心臓が、トクリと脈打った。
ほんの数分前から好きな人が出来ていた私は、軽い女かもしれない。
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初堀宮夢。とうとう書いちゃった;;
探してみたら案外少ないんですねぇ、堀宮の夢小説って。
もう水乃的には緑しかいないんですが、他のサイトさん見てたら柳くんもいいなあ…なんて。
彼氏にするなら井浦か柳がいいなぁw
やっぱり彼女がいないせいか、この二人の夢が一番多いですね。
堀宮ワールドとは違って世間様では緑は結構人気があるらしい。(びっくり)柳君は予想してたけど。
やっぱ家と学校のギャップがカッコいいんですよねwこのミスター二重人格。
あと一応ここの井浦の名誉のために言っときますが、彼女ほしいから告ってみたとかそういうんじゃないんです!ちゃんとヒロインのこと見てました!!