本物どーれだ?






「サンジ〜」

「何だい?ちゃんv」

サンジは作業を止めて満面の笑顔で此方を向く。

「ケーキの作り方教えてv」



女部屋…

「どう?この作戦v」

「中々面白いと思うわ、航海士さん」

「ほ、本当に大丈夫かな…??」

「なーに?。アンタが直接告る勇気が無いっていうからこうして考えてやってんのよ?」

「そりゃあ…感謝してますよ。それには」

三人はテーブルを挟んで額をつきあわせていた。

話は、のある相談から始まった。


「ナミ、ロビン、あのさ…」

「何?」

「どうしたの、絵描きさん」

話掛けたものの、はそわそわとして中々話し出そうとしない。

しかし、話は聞かずとも、の様子をみれば言いたいことくらい分かる。

はっはーん、とナミは嫌らしい笑みを浮かべての顔を覗きこんだ。

「男ね?」

「んなっっ!!?なんで…」

「ばっかねぇ、見れば分かるわよ」

「絵描きさんたら、顔に書いてあるわ」

くすっとロビンが笑うとはカアァッと顔だけでなく、耳まで真っ赤に染め上げた。

今度はロビンが笑みを含んだ顔での顔を覗き込んだ。

「相手は…コックさんかしら?」

「えっっ!!?それも見れば分かるの!!?」

「というか…日頃の態度を見てればね」

「気付いてないのは、当の本人くらいのものよ」

ナミは呆れ顔、ロビンは微笑み顔で互いに頬杖をついて顔を見合わせる。

はもう湯でも沸かせるのではと言うほど顔を火照らせて、蒸気を上げている。

「それで?告白でもするの??」

「したいけど…勇気が無くて」

「なぁにそれ?しょうもないわねぇ」

「だ、だって…;;」

「まぁいいわ、手伝ってあげる」

「ホント!?」

「ただし…報酬は弾んでねv」

「えぇ〜!!?」

やはりナミに限って何も渡さずに手伝いを要請するのがムリというもの。

しかし何も渡せるようなものも持っていないと、は頭をかかえた。

そんな時頼りになるのがロビンの助け舟。

「私は…そうね、コックさんの絶品デザートがいいわ」

「いいじゃないそれ!上手くくっついたら、ねだってねv」

それ位ナミ達がねだっても作ってくれるはずだが、それを承知で言ってくれているのだろう。

は有難うと言ってテーブルの上に顔を伏した。


…そして女部屋の冒頭の会話に帰るのである。

「これならいい感じにカモフラージュ&アピールできるわ!!さぁ、出動よ!」

「ほ、本気〜!!??」


…そしてさらに冒頭の会話に帰る。

「サンジ〜」

「何だい?ちゃんv」

サンジは作業を止めて満面の笑顔で此方を向く。

「ケーキの作り方教えてv」

「え?ちゃんに…かい?」

それだけでサンジは嬉しそうに頬を緩めたが、

「うん、それと…ナミにロビンも」

それを聞いてサンジはラブコックぶりを発揮し、目と煙をハートにして答えた。

「もっちろんですとも〜ンvvvv」

それをキッチンの入り口で聞いたナミは甲板に向けて叫んだ。

「はぁい、全員注目〜!!寝てるヤツは叩き起しなさい!」

ルフィが言葉の通りゾロをボコボコにして叩き起こすと、ナミは満足げに頷いて言った。

「これより、『どれが本命?どきどきケーキプレゼント会』を開催しま〜す!!
 ルールは簡単!私、ロビン、の三人がそれぞれ一人にケーキを渡します。
 三分の二は義理チョコならぬ義理ケーキ!残る一つは本命ケーキよ!!
 因みに!!答えは絶対に私達からは言わないわ!!聞くなら自分で聞きにきなさい!!
 但し、直接聞いたって答えないわよ!本命かどうか聞くからには…!!」

そこまで言ってナミは大きく息を吸った。

「愛の告白で聞くのよっ!!!」

「「「「「何ーっっ!!??」」」」」

男一同はいきなりのびっくりサプライズイベントに呆気に取られた。

一番に我に返ったゾロがある一つの事実を口にする。

「ん…?つまり、その三人の中で誰かが、このクルーの中に本命がいるってことか?」

「そうよ」

次に我に返ったウソップが途方も無い自意識発言をした。

「と、いうことは…!!三人のうち誰か一人がおれの事を…」

「誰がおめェだと言ったかよ!!」

三番手のサンジがつっこみを入れる。

四番手のルフィは目を輝かせて言った。

「あんまルール分かんなかったけどよ、つまり、ケーキが食えるかもしれねェってことかー!!?」

「ルール分かってねェ癖に驚いてたのかよ!!」

五番手チョッパーは一人ネガティブ。

「…あ、でもおれトナカイだから、あんま関係ねェか…」

「おいおい、そんな寂しいこというなよ相棒…!!おれが居るじゃねェか…!」

「う、ウソップ…!!」

「アーホくせェ」

「…ま、そういうわけで。サンジくーん!!ケーキの作り方よろしくね〜!」

「はァ〜いvvんナミすわぁんvv」




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